■WORKS■
紙と私
私は「楮」を原料に溜め漉きで自分の手で紙を漉いています。色彩は、原料の段階で墨や柿渋、酸化鉄などを各々混入したものを用意します。
それらを平場に広げて自然乾燥し何層も漉き重ねます。繊維の方向がランダムになり、厚みを増した1枚の紙の完成です。「楮」は紙の原料の中でも一番強い繊維です。漉いた紙を霧を吹いて曲げたり、巻いたり、折ったり、あるいは、しわくちゃにも。
肉筆でもなければ、声もないインターネットで情報を交換している現代、触覚は、皮膚感覚的で「空気や人のオーラ」を直接感じさせてくれます。「身近に触れに行ってみたり」「嵩を感じさせたり」「重さを感じさせたり」これらは私たちの魂と存在を揺さぶる、言葉を超える感覚です。
今、すべてが表層的で視覚が優先され「触覚」が忘れ去られています。「触覚」への強い関心が私をとらえて離さないのです。ぶつぶつ、ザラザラ、すべー、ごわごわ、これらの感覚は直接手にふれ、あるいは視覚を通じて、私たちの感情に深く影響を与えます。「触覚」は生命の感覚であるといわれています。
私はなにか目にみえない奥深い空気、精神と肉体、「気」の流れをこの制作を通じて表現したいと思っています。
友田多恵子